初恋リメイク!

「もしかして……泣いてた?目が赤くなってる」
「平気です!これは目にゴミが入って……!」
「全然平気って顔してないよ?」

 親切心なのか、匠先輩は更に追究しようとする。
 私はすっかり困ってしまった。
 
「匠、本人が話す気がないのに無理に聞き出そうとするなよ」

 葵先輩は呆れたように、詮索のし過ぎだと指摘した。
 突き放すような言い方だったけれど、どこか気遣いを感じる。

「ごめんね、晶ちゃん。葵の言う通りだね」

 匠先輩はヨシヨシと私の背中を撫でたかと思うと、次の瞬間「あっ!」と何かを思い出したように声を上げ、自分のスクールバッグを漁り出した。

「これ!晶ちゃんにあげる!」
「リボン……?」

 匠先輩から渡されたのは、女子生徒が首元につけるリボンだった。

 堀内学園の制服はシンプルな紺色のブレザーに、同じ生地で作られたスカートだ。

 デザインも色も平凡そのものだけれど、リボンは好きな物をつけていい校則になっている。

 仲の良い子同士はお揃いにしたり、リボンではなく蝶ネクタイをつけたりと、生徒ごとに個性が反映されている。

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