初恋リメイク!

「あいつ、『そんなに服が着たいなら俺が作ってやるよ!』って、突然言い出したんだ。最初は無理だろうと思ってたんだけど、次の週には完成品を渡してきてさ!」

 匠先輩はとうとうお腹を抱えて笑い出した。目尻にはうっすら涙まで浮かべている。

「毎週のように新しいものを作って持ってくるから、アイデアが底を尽いて、段々と女性物も作るようになったんだ。ほら?俺って女の子みたいに超絶可愛いし?試しに着てみたら、着こなせちゃったんだよなあ……」

 匠先輩はシャラランと美しい髪をなびかせた。
 今の匠先輩にはかつて自信を喪失していたころの面影は一切なかった。

「葵の作る服にはパワーがある。それこそ、誰かの人生をまるっと変えちゃうくらい」

 匠先輩を救ったのは、葵先輩の作る洋服だった。
 私は視線を地面に落とした。
 今までウジウジした自分を変えたいと願っても、なにも変えられなかった。
 ううん。本当は変えようと思っていなかっただけなのかもしれない。

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