初恋リメイク!
「ああ!葵くんは去年最優秀を獲った特典で、第三被服室の占有権を持ってるの。他の部員の子達だってちゃーんと活動してるよ?」
つまり、部員が数人しかいない弱小文化部だと思っていたのは、私の勘違いだったようだ。
しかも、最優秀賞ってどういうこと?
葵先輩と匠先輩からは順位の優劣がつくとはひと言も聞いていない。
(本当にこの人達と肩を並べてショーをするの……?)
他の服飾部の部員からの威圧的な視線をヒシヒシと感じ、急にめまいがしてくる。
「大丈夫?」
「ちょっとトイレに……」
プレッシャーに押し潰されそうになった私は控え室からそっと抜け出した。
足が向くままに渡り廊下までやって来ると、段差に座りこむ。
(お……思ってたのと違う……!)
内輪の発表会にしては、フロアに並べられていた椅子の数がやけに多いなとは思っていた。
第一体育館は中等部の全校生徒を収容できる、唯一の施設だ。
その第一体育館いっぱいのパイプ椅子、あれがそっくりそのまま来場者の数になるとしたら……。
想像だけでゾッとした。
匠先輩があれだけ熱を入れて指導をするはずだ。