初恋リメイク!


 葵先輩のはにかんだ笑顔を見た瞬間。

 ……心の中にあった澱みをすべて吹き飛ばすような、強い風が吹いた気がした。

 誰からも見向きもされなかった私に、ランウェイを歩く意味を見出してくれた人。
 その温かな光に包み込まれていく。

「ステージの上で緊張したら、とりあえず笑っとけ。笑ってたら、晶は無敵だ!」
「せ、せんぱ……」
「行くぞ!ショーが始まっちまう!」

 さっきまで足が地面に縫い付けられたみたいに重かったのに、どうしてかあっさり立ち上がることができた。
 葵先輩は私の手を引き、グングンと速度を上げ走り出した。
 
(すごい……)

 なんでこんなことができるのだろう。
 簡単に誰かの背中を押して、手を引っ張って、救い上げてくれる。
 葵先輩はすごい人だ!

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