白い空をまた君と見たくて
「はいはい、我慢我慢!嫌なのはわかるけどさ、嫌なのは!」
そう言って、私の頭をポンポンと()でる栗ちゃん。

「はぁ?嫌なのは、って、こっちが嫌だからこいつに言ってるんだけど?」
永嶋が足を踏み鳴らしながら言う。

「月野がなんかしたんだ?なんかしてなかったらどうするの?」

険悪なムードの中に、強い栗の声が響き渡った。

「…ちっ!」

永嶋は(あきら)めたのか、案外あっさりと去っていく。
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