ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

お客さんに話しかけられることがあれば答えればいいが、自分からは話しかけないこと。
なにかあればすぐに嬢が助けてくれるから、慌てないこと。

それだけの注意を受けた。
それでも緊張がほぐれないヒナに、マキが近づいてきた。

「ヒナちゃん、お見送りを手伝うだけだからそんなに緊張しなくても大丈夫よ」
「は、はいっ」

ガチガチに固まってしまったヒナを見てマキは声を出して笑う。
その笑い声まで清らかで嫌味がなく、ずっと聞いていたくなる笑い声だ。

「とにかく掃除に戻って。今日は顔色もいいみたいだし、休憩は自分で考えてとってね？」
「わ、わかりました！」

ヒナはペコリとお辞儀をすると、すぐにトイレ掃除へと向かったのだった。