ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
こんなことならなにかしらの接客業をやっておくべきだった。
そんなことを今考えても仕方ないのに、現実逃避のように考えてしまう。

「君……あぁ、ヒナちゃんって言うのか」
胸につけられているネームを見てお客さんが微笑んだ。

「はい。ヒナといいます。よろしくお願いします」
他の嬢たちも衣装のどこかに自分のネームをつけている。

ローマ字で書かれたそれを見て、お客さんが名前を覚えやすいようにしているのだ。
ネームをつけるなんてダサイとも思ったけれど、これのおかげでお客さんも会話がしやすそうだった。

今みたいに通りすがりに名前を呼んでもらえうようなこともあり、嬢としても顧客を増やすチャンスに繋がる。
「昨日からノアールにいる子だよね？　見習い？」

聞かれてヒナはようやく昨日も来てくれたお客さんなのだと気がついた。
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