ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
☆☆☆

これってチップってやつだよね?
休憩室へやってきたヒナはさっきもらった一万円札を信じられない気持ちで見つめていた。

まだ席にもついていない自分にこんな風にチップをくれるお客さんがいるなんて。
「やっぱり高級店は違うなぁ」

ヒナはため息まじりにそう言い、熱いお茶を一口飲んだ。
そして湯呑を持つ指先へ視線を向ける。

昨日指先がささくれだっていることに気がついてクリームを塗ったから、今日は少しはマシになっている。
それでも爪先はボロボロのままだ。

少し伸びて綺麗に整えることができるまではどうしようもない。
「ヒナちゃんよかったわね」

そう声をかけられて振り向くとマキが立っていた。
「マキさん」

慌てて立ち上がるとマキが座るように手で示した。
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