ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

ヒナが再び椅子に座り、その隣にマキが座った。
マキからは香水の香りとほんの少しお酒の匂いが漂ってきている。

頬も、いつもより赤らんでいるみたいだ。
「はじめてのチップ？」

「はい」
ヒナが手の中で一万円札を優しく包み込んだ。

この１万円札はヒナにとって特別なものになりそうだ。
「嬉しいわよね。最初のチップ」

「はい、嬉しいです」
「ちゃんと光にも報告してね」

その言葉にヒナは一瞬顔を曇らせた。
「チップをもらったことを伝えたら、お店のお金になるんでしょうか？」

「あぁ、そういうんじゃないのよ。ただ、誰がどんなお客さまからチップをもらったのか、光は把握したいんじゃないかと思って。把握しておけば、同じお客さまが来た時に、チップをもらった嬢をつけることができるでしょう？」