ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

☆☆☆

翌日からヒナはまた掃除係に戻った。
といってもお客様のお見送りはさせてもらえる。

時折「君も、お疲れ様」と、お客さんにねぎらいの言葉をかけてもらえたり、チップをもらえたりもする。
一足飛びにうまくいくことはなくても、徐々にこの店に自分が馴染んでいくんのを感じる。

「この本が最高に面白くってさ」
「へぇ、そうなんだ？」

「本は読む？」
「学生時代は教科書読んでたよ」

「こっちの本は、こうこう、こうで」
「なるほどぉ！　本に詳しい人って素敵！」

そんな会話をヒナは耳をそばだてて聞いていた。
お客さんの相手をしている嬢はパチンコやギャンブルが大好きで、読書とは無縁の嬢だ。

だけどさっきからお客さんの話の腰を折ることなく、ずっと笑顔で相槌を打っている。