ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。

☆☆☆

オープンして１時間ほどが経過したとき、光の読みどおりあのお客さんが来店した。
お気に入りの嬢がしっかりとイベント告知をしていて、来る意思を伝えていたようだ。

そういう細々したところまでちゃんと手抜かりないのはさすがだった。
それに比べてカズは……。

そこまで考えてヒナは思考をかき消した。
今は過去のことを思い出している場合じゃない。

お客さんのお気に入りの嬢は他のお客さんについていて動けない。
ボーイがヒナの名前を読んで、ヒナは一瞬ビクリとしてしまった。

けれどすぐに笑顔に戻り、席へと近づいていく。
「お待ちしておりました、丸太さま」

ヒナは笑顔で出迎える。
お客さんの名前は前回のときに覚えていた。

丸太さんはヒナの顔を見て軽く顔をしかめ、それから「どうぞ」とソファの隣を指してくれた。