ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
追い返されなかったことに安堵しつつ、丸太さんの隣に座りおしぼりを手渡す。
ヒナはすかさず前回の非礼をわびた。

「前回は丸太さんの会話を途中で遮ってしまって、本当にすみませんでした」
手稲に頭を下げるヒナに丸太の表情が和らぐ。

「いや、自分の釣りの話しばかりして悪かったと思っていたところだったんだ」
「そんなことないです! 私がちゃんと聞かなかったから……」

「ヒナちゃんの話を聞けて嬉しかったよ」
予想外の言葉にヒナが下げていた頭を上げた。

丸太さんは笑顔を見せてくれている。
「実は本業の傍らで福祉活動をしていてね。施設内の様子を聞くことができてよかったと思ってる」

「そうだったんですか?」
「あぁ。施設への差別や偏見はまだまだ根強い。だけどヒナちゃんみたいに強くたくましい子ばかりでもない。問題は山積みだよ」
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