ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
「あの人、すっごく性格が悪い客なの。来ても指名しないし、誰もつきたがらないのよ」
そう言われてもう1度男性客に視線を向けてみると、たしかに小難しそうな顔をしている。

眉間に何本も入ったシワは男性客のしかめっ面を安易に想像させた。
「ねぇ、あんたが行きなさいよ」

「嫌よ。それなら自分が行けばいいでしょう」
すぐに樹たちのなすりつけ合いが始まった。

近くにいるボーイも困り顔だ。
自分にできるだろうか。

ふと、ヒナはそう考えた。
みんなが尽きたがらないくらいヒドイ客だとしても、このままほっておくわけにはいかない。
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