ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
それこそお店のイメージが悪くなって行ってしまうばかりだ。
それなら、誰でもいいから席についた方がいいんじゃないか。

ヒナの足が自然と1番テーブルへと向かっていた。
「ちょっと、ヒナちゃん?」

嬢のひとりが呼び止める声が聞こえてくるけれど、ヒナは足を止めなかった。
最初の頃は雑用ばかりのヒナだったけれど、今はもう違う。

ヒナを指名してくれるお客さんも何人か出てきてくれている。
腕試し、というわけではないけれど誰かがいかないといけないなら、手の開いている自分が行くべきだと思った。

ヒナは男性客の前までくると膝を追って視線を低くした。
そして名刺を差し出す。

「はじめまして、ヒナと申します」
男性客はチラリとヒナの方へ視線を向けたけれど、なにも言わずにそっぽを向いてしまった。

ヒナになんてまるで興味がなさそうだ。
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