ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
「それは……」
なにもない。

お客さんを盛り上げて一緒に歌を歌って。
そのくらいのことしかできない。

だけど、それでこのお客さんが納得するとも思えなかった。
ヒナの背中に汗が流れていく。

どうしよう。
どう切り抜けたらいいんだろう。

自分からこの席に座ったくせにすでに後悔している。
こんなことになるなら、素直に光に相談に行くべきだった。

「あら、山田さんじゃない」
困り果てているヒナを助けるようにやてきたのはマキだった。

マキはしなやかな動きでヒナとは逆側へと座る。
マキが隣についた途端、男性客の顔からイジワルな笑みが消えた。
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