ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
自分を叱咤してスマホをバッグへ戻したとき、仕事帰りの５０代くらいの男性が日奈子に近づいてきた。
紺色のスーツはブランド物で、清潔感もあり、お腹もでていない。

パッとその男を見て日奈子は当たりだと判断した。
男は橋の上に立っている女のコたちを品定めするようにチラチラと横目で見ながら歩き、そして日奈子の前で立ち止まったのだ。

そして半歩だけ日奈子に近づき「いくら？」と、他の誰にも聞こえないような声で質問してくる。
きた！

男の身なりを確認していた日奈子はすぐに右手で三本の指を立てた。
これは三万円という意味になる。

男はそれを見て一瞬顔をしかめた。
そして日奈子を舐め回すように見つめる。

日奈子は緊張した様子でジッとそれを耐えていた。
「君、もう若くないよね？」

次に男から言われた言葉に日奈子は「えっ」と言ったきり言葉を失ってしまった。
まさかそんな質問をされると思っていなかったから、咄嗟に対応できなかった。
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