ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
光はそんな日奈子を見て上機嫌に笑った。
自分がスカウトした嬢がどんどん上り詰めていくのを見ているのが楽しいみたいだ。

「来月当たりにはトップ3に入れる日が来るかもしれないな」
「まさか。私なんてまだまだだよ」

人気が出始めたと言っても、1日の売上ランキングで5位に入ったのが最高なくらいだ。
3位なんて、まだまだ手が届かない。

だけど光はそう思っていないようだ。
「いや、お前ならきっといける」

そう言って日奈子の頬を触れる。
暖かくて優しい指先に日奈子の心臓がドクンッと跳ねる。

「も、もう、すぐそういうことするんだから」
日奈子が得意の『やめてくださいな』と言おうとしたそのときだった。

不意に目の前が陰ったかと思うと、唇に暖かなぬくもりを感じていた。
チュッと音を立てて唇が離れていくと、呆然としている日奈子の目の前に照れて少年みたいに真っ赤になった光の姿があった。
え……。

なにも言えずに目を見開いたまま硬直している日奈子へむけて「悪い」と、一言言うと光は自分の部屋へ入っていってしまったのだった。
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