ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
だけどそれは嫌な予感がする跳ね方だった。
「そんな格好してどうしたの? まぁ、似合ってるけど」

自分を殺しかけた人間を前にしてスラッとそんなことが言えるのはさすがホストだと関心する。
同時に呆れもあった。

「あれ? 泣いてた?」
そう聞かれて日奈子は慌てて頬に流れていた涙を手の甲で拭った。

走りながら勝手に涙が出てきていたのだ。
おかげで化粧もハゲかけている。

「なにか辛いことでもあった?」
カズが日奈子の頭に手を乗せてくる。

その手は何度も日奈子をなでた手だった。
大きくて優しい手。

だけどキャバクラ嬢になった今ならよくわかる。
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