ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
☆☆☆

夢のような時間はあっという間に終わってしまう。
30分といううざったい時間制限によって日奈子は帰宅を余儀なくされた。

まだ遊びたいのなら、追加料金がかかってくる。
「もう帰っちゃうの?」

カズが甘えたような声で言う。
それだけで日奈子は帰ることを躊躇してしまうんのだけれど、今日は借金までしてきているから、心を鬼にしないといけない。

今帰ればまだ、借金をそのまま返すことができるからだ。
「またすぐに来るからね」

名残惜しさを押し殺して日奈子はカズの胸に抱きついた。
たくましい胸板を感じ、両腕できつく抱きしめられるとカズは自分のものなのだという安心感を得ることができる。

「俺も日奈子ちゃんのことずっと待ってる」
耳元で囁き、頬にチュッとキスをされる。

日奈子は後ろ髪を惹かれる思いでホスト店を後にしたのだった。
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