ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
カズからはすでに日奈子からのプレゼントを楽しみにする内容のメッセージが届いている。
今更なかったことにはできない

「どうしよう……」
呟き、狭い部屋の中をグルグルと歩き周る。

スマホで貯金残高を確認してみるものの、一月分の給料が残っているばかりだ。
これでは到底足りない。

やっぱり借金を繰り返すしかないのか……そう考えたときだった。
ふと思い出したのは母親の顔だった。

日奈子が学生時代の頃にもらっていたお年玉を、母親はすべて貯金してくれていたことを思い出したのだ。
日奈子は弾かれたように本棚へ向かった。

確か家を出る時に通帳を渡されたのだ。
それを、この本棚のどこかに保管していた。

今までは自分で仕事をしているから、その通帳を確認することすらしなかった。
日奈子が本棚から引っ張り出してきたのはほんの形をした入れ物だった。
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