ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
☆☆☆

少しだけでもお金を稼ぐ必要がある。
日奈子は赤いミニのワンピース姿で今度は橋へやってきていた。

明日食べるものすら危うい状況になるとわかっていたはずなのに、どうしてもホスト通いをやめることができない。
やめたいとも思わない。

若い女のコに嫌味を言われるのが嫌で、日奈子は橋の一番端っこでポツンと立っていた。
少しうつむいてあまり顔が見えないように気をつける。

おとなしくしていればおばさんだって文句を言われることはないはずだ。
だけど、案の定なかなか声をかけてくれる人はいなかった。

高級スーツを着た男たちが橋の上を行き交うたびに少しだけ顔をあげて確認してみるけれど、誰も日奈子を見てはいない。
他の子に声をかけているか、単純に橋を渡っているだけだ。

足元からどんどん冷気が上がってきて体が冷えてくる。
他の立ちんぼたちも寒さに悲鳴を上げて帰っていく。
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