ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
声がした方へ視線を向けてみると、そこには２０代前半、日奈子よりももしかしたら若いかもしれない男が立っていた。
男はTシャツにジャンパー、ジーンズというラフな格好なので、仕事帰りではなさそうだ。

「なに？」
どうせまた冷やかしだと思い、日奈子は男に警戒心をむき出しにした。

若いしスタイルも顔も悪くない男が、わざわざこんなところで女のコを選ぶ必要がない。
この男が声をかければ女のコなんてはいて捨てるくらいよってくるはずだ。

若い男は少し離れてから日奈子の体を上から下まで眺め回した。
男にこういう風に見られることには慣れているけれど、この男はなんだか違う気がして居心地が悪くなる。

他の男たちは体のラインやそれに対する単価を考えている目だけれど、この男はまるで骨董品を見るような目で日奈子を見ている。
やがてふっと息を吐き出すと、ジーンズのポケットから名刺を一枚取り出して日奈子に手渡してきた。

「これ、今度俺がオープンさせるキャバクラ店なんだ。興味があったら連絡してきて。少なくても、こんなところで体を売っているよりも稼げるぞ」

男はそう言って、去っていったのだった。
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