ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
私はカズに会うためにここまでやつれたんだ。
食費を削って、仕事終わりに立ちんぼまでして必死にお金をかき集めている。

だからきっと、それを理解してくれているはず!
「あんなになるくらいなら昼の仕事をやめりゃいいんだ。夜一本に絞れば自由になる時間も増える」

「風俗いけってことですか?」
「普通だったらそうするだろ。なにが悲しくて派遣で仕事続けてんのかわかんねー」

風俗……。
日奈子の脳裏に何度も何度も見知らぬ男と寝た記憶が蘇ってくる。

それをお店でやるようになるだけだ。
なにも変わらない。

心がすり減っていくとそんな風にわからなくなっていくんだろう。
「なのにあの女風俗には行かないんだ。だから今以上に金もできないし、金を作ろうとすればするほどやつれていく。あの見た目じゃ客もつかないだろうしな。もう少し搾り取ったら、お払い箱だ」

カズはそう言うと笑いながら店内へと戻っていったのだった。
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