ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
☆☆☆

信じてたのに。
信じてたのに、信じてたのに!!

カズの言葉がショックで逃げ帰ってきた日奈子は毛布にくるまって座り、爪を噛んでいた。
ガリガリと噛んだ爪先からは血が滲んできているけれど、気にならなかった。

いつか由利みたいに結婚できるかもしれない。
それは遠いと遠い夢のことで、自分には無縁のことだった。

そうと気が付かずにカズに一千万円近くを貢いでいたことになる。
「一千万」

口に出して言ってみてゾクリとした。
それだけの大金を短期間で自分は稼いで、そしてカズに渡してきたんだ。

昼間の仕事だけではもちろん稼げない。
大半が夜の立ちんぼによって得た金だった。

そう考えた瞬間に気持ち悪さを感じて慌ててトイレに走った。
便座に顔を突っ込んで思いっきり吐くけれど、ロクに食べていないから胃液が出てくるだけだった。

胃がキリキリと締め上げられているように痛い。
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