ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
周囲の音が静かになったかと思うと、そんな質問をされて日奈子は「え?」と、聞き返した。
『ほら、立ちんぼだよ』

そう聞かれて日奈子の顔から血の気が引いていく。
その質問をするためにわざわざ人のいない場所まで移動したのだろう。

部長の下品な笑顔がすぐに想像できて寒気が走った。
収まってきていた吐き気が再びこみ上げてくる。

「そ、そんなことしてません!」
日奈子は叫ぶようにそう言うと、強引に電話を切りそしてトイレに走った。

嗚咽をもらしながら日奈子の目にボロボロと涙が溢れ出す。
もう、あの職場には行けない。

日奈子はそう、感じたのだった。
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