ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
自分の体も使い倒した。
たった1人の男のせいで、なにもかもが変わってしまった。

それなのに、どうしてあいつはなにも変わっていなの?
そんなの不公平じゃない。

日奈子は大股に開店前のホスト店へと向かった。
店の裏手に回り込めばすでに数人のホストたちが集まり始めている。

開店時間まであと30分ほどだ。
日奈子は電信柱に隠れて時間が来るのを待つ。

電信柱に隠れて立つひょろりとした日奈子の姿はまるで亡霊のように見える。
それくらい異様な姿だった。

それでも日奈子にはそんなこと関係がなかった。
隠し持った包丁の柄を何度も指先でなでて確認する。
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