ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
まさか、残高不足で催促しにきたわけじゃないだろう。
そう思いつつドアスコープから外を確認してみると、仏頂面の若い男が立っていた。

誰、この人。
一瞬けげんに思ったけれど、すぐに昨日の出来事を思い出した。

包丁を持ってホスト店へ突撃した日奈子を止めた人物だ。
名前はえっと……。

考えていると靴箱の上に名刺と包丁が乗っかっていることに気がついて視線を向けた。
そうだった。

昨日部屋に戻ってきた時に持っていたものを全部ここに乗っけて、そのままだったんだ。
思い出して日奈子はすぐに包丁を片付けた。

そして名刺を手に取り、相手の名前を確認する。
そこには田口光と書かれていた。

その上には『ノアール』と印字されている。
こっちは店名だろう。
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