ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
てっきり笑われると思っていたけれど、光はなにも言わず、むしろ痛々しいものを見るような目で日奈子の部屋の中を見回した。
「まぁいい。出かける準備をしろ」

「出かけるってどこに?」
「俺の店に決まってるだろ」

そういやこの男、高級キャバクラ店のオーナーだったか。
思い出してみれば昨日乗った車も高級車だったっけ。

すごく馴れ馴れしい上に今はラフな格好をしているから、全然そんな風には見えないけれど。
とにかく、成り行きとはいえ日奈子は光の経営する店で嬢として働くことになったのだ。

今日から出勤するとは聞いていなかったけれど、部屋で1人でいるとまたカズのことを思い出してしまいそうなので、素直に従うことにした。

「すぐ準備するからちょっと出てて」
一部屋しかないから、着替えを見られてしまうと思い、日奈子は光を外へ追い出した。

玄関を閉める直前で「ここで待ってる」光は真剣な表情でそう言ったのだった。
< 79 / 264 >

この作品をシェア

pagetop