財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「え?」

「まあ、お前も俺と一緒で笑わないクール同士だと思ってたのに、お前だけ幸せになってさ……」

「なんだ……それなら、崇さんも縁談を受けちゃったら、はあ、良かったのに……。お相手は美人らって聞きましたよ。なんでふったの?もったいないれすね」

「俺は好きな奴じゃないと結婚は絶対嫌だ」

「お付き合いしてみたら好きになるかもしれないれすよ?」

「ならないね……俺にはもう……いるんだよ」

「何がいるんれすか?……」

 酔いが回ってきた。夕べは御曹司秘書のはなしもあって、心配で眠れなかったのだ。寝不足なのだ。

 お酒がいつも以上に回ってしまった。グラスを持ち上げた私の手を御曹司がつかんだ。
< 104 / 267 >

この作品をシェア

pagetop