財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
「おい、そのくらいにしておけ。香月、大丈夫か?お前、目が……」
「……なんれすか?」
「ったく、しょうがないな……どうなっても知らないぞ」
私は机の上で頭を伏せてしまった。誰かが私の頭を撫でている。何か言っているが子守歌にしか聞こえない。
「どれだけ苦労して支社に来たと思ってるんだ……馬鹿め……香月、連れてくぞ。いいんだな?」
「……うーん。おうちに帰ります……」
「ああ、お前のおうちじゃないけどな。俺の今いるおうちに帰るよ」
「……ついたら……教えてくらさい……」
「ああ、教えてやる」
そのままタクシーに乗ったのまでは覚えている。意識がなくなった。ふわふわと雲の上を歩いているような感じだった。