財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
彼はそう言うと寝室を出て行った。私はしばらく呆然として何も考えられず、気づいたら眠ってしまっていた。
翌朝。
喉が渇き、トイレに行きたくなって目が覚めた。
時間を見るとまだ六時だった。
化粧も落としていない。シャワーも浴びたかった。でも着替えもない。頭も、そして身体も重い。私は馬鹿だ。
トイレに行くためそっとドアを開けて部屋を出る。まじまじと周りを見たがとても綺麗なスイートルーム。
カウンターのメモ帳を見て気づいた。ツインスターホテル横浜だったのか。
秘書になってから都内でひとり暮らしをしていたが、支社になって自宅へ戻った。
昨日は飲み会だから遅くなると伝えたが、さすがに朝帰りとは言ってない。まあ、アラサーの娘にとやかく言う親ではないので安心だ。