財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 目をそらして言うと、彼はため息をついた。

「じゃあ、着替えたら送るから待ってろ」

「いいえ、大丈夫です。窓から見て驚きました。ここ駅からすぐだったんですね。電車で帰ります」

 彼は私の顔を見て、これ以上止めても無理だと思ったらしい。

「……わかった。駅は目の前だ。気をつけて帰れよ」

「はい」

 そう言うと、荷物を持って私は部屋を出た。彼はドアを開けて送ってくれた。

 前髪を垂らした寝起きもイケメンって破壊力がすごい。それに対して私は化粧も落とさず寝てしまいすごい状態。

 我に返った私は、恥ずかしすぎて少しでも早くここから消えたかった。

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