財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
一人ハイテンションの難波さん。佳奈美さんは苦笑い。
「短い間でしたが、お世話になりました。でも、戻るかもしれないから忘れないで下さいね」
「え?そうなの?」
佳奈美さんが二杯目をすでに頼み終えると、私を見た。坂本君が言う。
「そう。半年後だっけ?戻るかもしれないらしいですよ。だから香月に言ったんです。さっさと片付けて、さっさと戻ってこいってね」
「……それって本当なんですか?」
難波さんが心配そうに言う。坂本君の事を心配しているんだね。
「心配しないで、難波さん。戻ったとしてももう、坂本部長の担当はそのままだよ」
難波さんは恥ずかしそうにしている。可愛いじゃないの。
「おい、香月。どうしてだよ?お前、嫌がらせか?難波にやらせるなんて、俺はこいつの口の悪さには辟易してるんだ」
「あの、坂本部長。もう、坂本課長は偉い人になったんですから、私は口の利き方を変えます。ご安心下さい」
「あれれ、難波さん、急に大人になったねえ。ふーん、なるほどね」
佳奈美さんは難波さんの顔を見て頬杖をつきながら笑っている。そして私の方を向いて言った。