財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
「それにしても、本当だったんだね。本部の偉い人の秘書だったんでしょ?」
「どうせ……知ってたんでしょ、佳奈美さん」
「まあね。誰の秘書だったかは知らないけど、支社長が少し私にぽろっと話したの。でも、内密だから絶対言うなって言われてた」
「見るからに香月は普通のOLじゃなかったよな。本部の同期の女子も知っているけど、お前は数ランク上って感じだよ。それに、少し探れば同期だから色々わかったよ。大変だったんだな……」
私が何も答えなかったので、難波さんが食べながら話を変えてきた。
「それよりも、佐々木部長って何したんですか?私あの人、正直大嫌いだったから、いなくなって本当に嬉しいですけど、何かしてクビになったって本当ですか?」
目をキラキラさせて聞いてきた。坂本君ががっくりする。
「お前さ。部長の仕事してたんだろ。何も感じなかったのかよ」
「え?だから、嫌いだもん。自分からは極力近づかないようにしていたし、必要以上のことは話さないようにしてたもん」
枝豆を食べながら話す彼女を坂本君は呆れて見ている。