財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
招待状
ここのところ、御曹司の表情が柔らかくなったと噂になっている。
私以外の誰かを入れて三人で話しているときは、彼もその第三者へ冗談を言うようになった。
そして笑顔を自然に返している。皆、崇さんに話しかけやすくなったと喜んでくれている。
それだけならいいのだが、皆の前で私をからかうことも多くなってきた。
今日もこうやってわざわざ秘書室に来て私に声をかける。みんなが見ているのに……。
「香月。明日午前中に来るライズの担当者は誰だったっけ?」
「三人いらっしゃいますが、確認致します。お部屋でお待ちください」
「なんだよ、三人って言うことは頭に入っているんじゃないのか?俺の秘書は記憶力だけはいいはずだけど」
また始まった。皆が見ている。すぐにここを出ようと席から立ち上がった。そこで新人の女性秘書から冷やかしが聞こえた。
「すごいですね、香月さんって全部細かいことまで記憶してるんですか?」