財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
「それと……すみませんが、香月が秘書課にいるときは、秘書課に顔を出すのを控えてください」
「は?」
「いいですね。誰か見ているところで香月に声をかけないようにしてください」
「何を言ってるんだ。俺の秘書なんだぞ。話しかけるに決まってるだろ。仕事のことだ」
「それなら、先ほどのように彼女をからかっているところを見せないようにして下さい。そうじゃないと彼女が大変になります。いいですか?崇さんの隣を狙う連中が秘書課にもいるんです」
「だから、わざとあいつらにわかるように香月と区別してやってるんだよ。それに顔を見て香月に聞きたいから秘書室へ探しに行ったんだ」
辰巳さんが大きなため息をついた。
「いつも部屋で見てるじゃないですか!いないなら秘書室へ電話してくればいいでしょう……」