財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
「いや、俺が突然入って行ったときに見せる香月の慌てる顔が面白いからわざわざあそこへ行くんだ」
「いい加減にしてください!小学生じゃあるまいし、何なんですか……もう……」
辰巳さんは部屋を出る前に私へ囁いた。
「気をつけろ。何かあればすぐに言えよ。遅くなったら対処できないこともある」
「ありがとうございます」
彼は背中をぽんと叩いていなくなった。
* * * *
昨夜、急に実家の父から連絡があった。話がしたいので一度戻ってきてくれないかという。こんなことは今までなかった。何かあったんだろうとピンと来た。
その日の夜。とにかく急いで実家に戻った。