財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 時間がない。正直に申し上げて謝罪するしかないが、先方に招待状なしで入れるか、確認すべきか悩んだ。

 そこへ崇さんが入ってきた。

「おい、香月。お前、あさってのクルーズは一緒に泊まるつもりで来ていいぞ」

「お部屋は崇さんの分だけです。私は終わったらすぐに失礼します」

「帰ったらダメだ。夜に特別な催しもある。ディナーはうまいぞ。それに俺の部屋は特別だろう。お前も泊まれるから一緒に飲もう。約束していたのに結局未だに飲みに行ってないぞ」

 いたずらっぽい目で誘う。それどころじゃない。カードを紛失したので泊まれないかもしれない。私は立ち上がって彼の前で頭を下げた。

「申し訳ございません」

「どうした?」

「招待状と部屋のカードが入っていた封筒ごと見当たらないんです。もしかして、紛失したかもしれません。先方にどうしたらいいかお電話して確認致しますので少しお待ち頂けますか?」
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