財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「紛失……そんなことあるのか?」

「え?」

「お前、専務の時代を含めて今までそういうことはあったのか?」

「……ありません」

 私が下を向いていると、彼が私の肩を慰めるようにポンポンと軽く叩いた。

「別に……招待状がなくても問題ない。変な話、俺の場合は突然普段着で行っても入れてもらえるだろう」

 ニヤリと例を笑みを浮かべている。私はあっけにとられて彼を見た。

 い、いくら同じような財閥の御曹司とはいえ、それはないだろう。おかしいんじゃないの?

 冗談を言ってる場合じゃない。全く笑えない。

「そんなわけありません。さすがにいくら榊原の御曹司でも……あちらも有名な清家財閥です。セキュリティチェックで入る前に招待状を確認しますよ。いくらでも最近なら偽装できます。何故かわかりませんが、招待状を封筒ごと必ず持って来るよう書いてありました」
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