財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
辰巳が連絡したら玖生の秘書がすぐに調べてくれて連絡が来た。想像通りだった。玖生のところは取引銀行の頭取全てに招待状を送っていたことも判明した。
辰巳と話していたら、新藤が急に入ってきた。
「崇さん。例の信託銀行が急に香月さんの父親の研究所の融資から手を引いたそうです。崇さんからの指示通り、何かあれば連絡するよう言っていたので連絡がきました」
俺と辰巳はびっくりして顔を見合わせた。俺は勢い込んで新藤に言った。
「香月の父親の研究所は……それで資金繰りは大丈夫なのか?確認しろ」
「わかりました」
「総帥にも報告をしておけ。こちらでも問題が起きた。詳しくは辰巳から報告させる」
新藤は辰巳の顔を見て、事態の深刻さに気づいたようだった。黙って出ていった。