財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「先ほど、玖生の秘書に連絡して招待状の場所を探ってもらった」

「……え?どういう意味です?」

「あの招待状には個別に警備用としてICチップが入れられている。以前、清家は招待状を偽装されて、暴漢に総帥を拉致されかけたことがあるんだ。それ以降、清家財閥は特殊な警備体制を敷いている」

「それがどうしたんですか?……まさか、調べてもらったんですか?」

「その通り。調べてもらったら、思いもしないところにあった。この本部へ置いておけばわからなかったのに、見つけられたくなくてわざわざ自宅へ持ち帰ったんだな」

 どういう意味?まさか、盗難だったということなの?青くなった私を見て、彼はたたみかけるように言った。

「俺宛の招待状は都内のある家にあるようだ。その住所を確認したらどうやら黒沢さんの実家だった」

「それは……違います。先ほど聞いたんですけど、彼女のお父様も招待されているそうです。その招待状はお父様の分だと思います。招待状を取り違えて見ているんじゃないですか?」
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