財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 崇さんは私の顔をのぞき込み、身体を支えて座らせた。

 ぐったりと背もたれに身体を預けている私に、彼は水を持ってきてくれた。

「ありがとう」

「少し横になるか?」

「ううん。大丈夫よ。ごめんなさい……」

 彼は私をそっと抱きしめると頭を撫でた。

「こんなにショックを受けるとは思わなくて……俺は本当に馬鹿だな。黙っていればよかった。菜々を苦しめてしまった」

「そこまでは想像してなかった。同期だから仲がいいんだろうと思ってたの。本当に……私って馬鹿……」
< 214 / 267 >

この作品をシェア

pagetop