財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
私のついていた瀬川取締役はやっと常務になったばかり。ああ本当についてないと思った。まあ、あまり切れ者ではないと思うのでしょうがない。まあ、彼はどうでもいい。所詮、私がここにいるための駒でしかないのだ。
秘書課へ入って大分経ってしまった。私もすでにいい年齢だ。父も積極的に行動しろと言うので、ここ最近は崇さんを籠絡するため積極的に周りを使ったりして努力をしているのだ。
「崇さん。よろしかったら週末うちへいらっしゃいませんか?父がガーデンパーティーを致しますの。いくつかの財閥内の関連企業関係者もお招きいたしますので……」
廊下で彼を待ち伏せしてようやく誘う。常に辰巳という男性秘書が目を光らせていて、スケジュール管理している。無駄なことが嫌いな崇さんは、移動するとき以外はほとんど部屋にこもりきり。しかも、他の秘書に笑顔ひとつ見せないクールな人なのだ。
普段はクールだが、たまに皆の前で笑うことがある。毎年秘書課の忘年会では、秘書ひとりひとりに声をかけて、笑顔でいたわりの言葉をかけてくれる。普段はクールで、大切なときはそれぞれに笑顔を見せる。そういうところも素敵だと思う。
私に今まですり寄ってくる口の軽い男達は気持ちが悪かった。崇さんに愛想がないとか陰口を言う秘書課の連中は彼の本当の魅力がわからない馬鹿ばかりだ。