財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

左遷

 
 総会の日がとうとうやってきた。

 そして、私の恐れていたことが現実となった。

 総帥は息子が専務に影響されることを警戒し、実はずっとよく思っていなかったと噂されていた。

 実際、崇さんがいなくなってから、周囲の攻撃的雰囲気は強くなり、専務の周りに人がいなくなってきた。

 専務も自分の周りの人を引き留めようともしないし、新たに何か考えているとも思えなかった。

 投げやりとは言わないが、あのとき私に話したとおり、なるようになるという感じで傍観されていた。

 そしてとうとう専務は代表権のない役員に降格された。権力闘争というと形はわかりやすいが、裏のある下剋上。

 日傘専務を追い落としたのは、なんと黒沢さんが秘書をする瀬川常務と真紀の葛西常務。ふたりが新しい専務になった。
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