財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 崇さんから引き離せて万々歳。

 崇さんは香月さんを気にしていたのは本当だったようだ。伸吾に取られてから一時期機嫌が悪かった。私は早めに気づいて雑草を取り除けて安心した。

 しかし、それも必要なかったかもしれない。上司達の風向きが変わってきた。

 日傘専務は総帥に煙たがられて、崇さんの海外長期出張を機に冷遇され更迭された。そして私の瀬川常務がようやく専務になった。しかも香月さんも一緒に支社へ左遷され秘書課を追われたのだ。伸吾は可愛くない女だと言っていた彼女とすぐに別れた。

 私の天下が来た!そう思った。

 ところが、海外へ行く崇さんに外から縁談がもたらされた。焦っていたら、すぐに彼が縁談を断った。どうやら総帥と日傘専務のことで喧嘩したらしい。

 私にとっては完全勝利が目前だった。おそらく、海外から戻ったタイミングで婚約だろうと父からも言われていたのだ。
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