財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「昨日の夜、急にアイツが本邸へ戻ってきて、君と付き合うことになったと嬉しそうに報告してきた。いつかそうなると予測していたし、驚きもしなかった。それより、アイツの顔ときたら……妻が驚いてた。今朝もひどかったな、なあ辰巳、お前もそう思っただろ?」

「はい。私もメールで交際の報告は崇さんから頂いておりました。それでも今朝は驚きました。私も長いこと彼のことを見てきましたが、今朝のような彼は初めて見ました。肌がつやつや、元気いっぱい、にこにこしている。正直誰だろうと思いました。気持ち悪かったです」

 私は恥ずかしくて真っ赤になって下を向いた。なんなのこれ?公開処刑?

「ただ、君を秘書として迎え入れると決めたときは、距離を置いてくれと言った。今同じ状況になったとしてもそう言うだろう」

「……はい。すみませんでした」

「確認するが、無理矢理だったんじゃないだろうな?」
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