財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
意地悪そうに例の眼で辰巳さんを見ている。すると、すぐに辰巳さんが言った。
「総帥。実は私も随分前から崇さん同様に意中の女性がいるんです。香月も知っている人です。そのうち、崇さんに負けないように私も頑張って告白します」
「お前は何を言っている?全く……」
ノックの音がして辰巳さんが確認しに行った。すると急にドアが開いた。崇さんだ。私は驚いた。時間を気にするのを忘れていたのだ。
「父さん、彼女に連絡がつかないから困ったじゃないか。黙って連れて行くなよ。彼女は俺のものだぞ」
私は急いで携帯を確認した。着信が二件ある。彼からだ。
「申し訳ありません。何か緊急でした?」
「ああ、緊急だ。指輪の件で、店から連絡が来ていて君に聞きたかったんだよ」