財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
「はあ……え、指輪って……まだ早いです。あの、できればしばらく普通にお付き合いをさせてください」
私の隣にドスンと座った彼は、私に向かって言った。
「今回の指輪は君へのただのプレゼントだ。父さん、夕べ彼女の事は家で話しただろ。呼び出してなんか問い詰めたり虐めたりしてたんじゃないだろうな」
「今回の事件の結末を伝えていたんだ。あと、無理矢理お前に付き合わされたんじゃないかと心配でね。本当にお前でいいのか確認していたところだ。彼女に問題は見当たらないが、お前の浮かれ具合にはあきれかえる。これでは清家にとても敵うまい」
彼は私の手を取って、膝に載せるとポンポンと叩いた。辰巳さんが咳払いをした。私は手を引っ込めようとしたら、握り替えされた。
「一年後には総帥を完全に継承するよ。父さんも首を洗って待っていてくれ。それと、清家には負けないから安心してくれ」
「崇さんったら……口が悪いですよ」