財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「今回の海外は秘書を連れず、現地で俺が全てアポを取りながら回る。成果が出れば、父も俺のことを認めるはずだ。女性秘書は初めてだがな」

「……そういえば、女性秘書も禁止だったんだよな。大丈夫なのか?」

 鷹也がナッツをつまみながら言う。

「まあ、見てろ。全てを手にするため、やり遂げてみせる」

「すごい剣幕だな。いや、お前がここまでやる気なのは久しぶりに見た。楽しみだよ」

「まあ、身体に気をつけろよ。戻ってくる頃には俺も少しはどうにかしておきたいからな。近いうち俺も外へ出る」

 玖生が笑いながら言った。

「鷹也。お前、いい加減にしろよ」

「……何が?」

「遊ぶのだよ」
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