財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「いい加減にしてるよ」

「「嘘つくな!」」

「嘘ついてないよ。本命はそろそろ絞りつつある。さすがの俺もパートナーをひとりにしないと、色々言われてグループにも良くないからな。まあ、お前達とは違うからね、女性関係だけはお前らには百年経っても負ける気がしない」

 玖生と俺は顔を見合わせ、ため息をついた。

 * * * *

 海外では総会の結果も耳にしていた。

 専務は行く直前、何があっても介入するなと俺に厳命した。

 つまり、自分が総会で罷免されようとも何もするなという意味だ。嫌だといっても無理だとわかった。

 全て俺のためだとわかっていたからだ。いずれ俺の世界を作り、専務を呼び戻す。
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